2024年11月 後期リトリート体験談 ゆかり様

2024年11月後期リトリート体験談

ゆかり 様

2024年の締めくくりとなるリトリートのため、今回はいつもにも増して気を引き締めて臨もうという思いが強かった。雑事に追われる日常の中では、なかなか落ち着いた瞑想時間を取れないのが実情であるが、10日前から、毎日1時間の瞑想をすることにした。そしてFacebookの記事を印刷したファイルに目を通す。また、日課のウォーキングは、歩数などに目標を持たず、沢山歩く日もあれば、大して歩かない日もある、といった漫然とした有様であったが、8000歩以上を決まりとした。入院した友人のために、一月前から続けている氏神様への毎日の参拝をしているが、このことを含め、何が事前の心構えとして相応しいのかよく分からないながら、体力をつけ、気持ちを高めていこうということにした。

また、なかなか踏み切れずにいた断酒を、6月にとうとう決行したのは、辛いことの多かったこれまでに区切りをつけ、新しい人生を始めたい、瞑想の純度を高めてサマディへ近づきたい。そんな思いからだった。けれど誰かに「なぜ今更断酒?」と真っ直ぐに尋ねられると、恥ずかしさが先立ち、どうもはっきり答えられないのは、まだサンカルパが足らないからかもしれない。

 リトリート初日。夜行バスと電車を乗り継いで、駅からアシュラムへ徒歩で向かう途中、あまりにも早朝なので、時間潰しも兼ねてカフェに寄った。ここまで来れば、もう程なく到着できるだろう、そう考えながら店を出てみると、緩みかけた心を嘲笑うように、先程までの晴天が土砂降りに変わっていた。出入口の屋根の下で、鞄を少し開き雨具一式を取り出し、身に着けたのはいいが、慌てて詰め込んだ上着が引っかかって荷物のファスナーが閉まらない。焦れば焦るほど閉まらない。「あーそうですか。もう、わかりました!」独り言を言いながら店の出入口の脇で、鞄の蓋を全開にすると、通る人の冷たい視線に気づかない振りをしながら、荷物をきっちり詰め直した。この時、覚悟が決まったと思う。夫が良かれと思って付けてくれたキャスター用のチャチな静音カバーがねじ切れて、車軸にぎっちり絡んで、荷物が引っ張り難いったらありゃしなかった!が、構わず力尽くで引いて、汗びっしょりになりながらアシュラムへ到着した。

 そんな幕開けであった。

インドへ行った時も思ったが、次々起こるトラブルに、一瞬めげそうになるが、「あぁもう、なるようになれ!」と腹を決めると事が進んでいくようだ。困ったことに直面すると、わたしの脳内にババジ猊下が現れて、にこにこしながら、「さあて、どうする?諦めちゃう?」と悪戯っぽくお尋ねになるのだ。「いえいえ、これしきのことで諦めません。」と宣言するという下りが定番となっている。(因みに、帰りも豪雨で電車が止まりかけ、本当に危うく予約したバスに乗り遅れるところだった、という念の入ったおまけ付き)

 リトリート中の瞑想は、やはり素晴らしいものだった。アシュラムに溢れる静謐なエナジーに丸ごとすっぽり包みこまれる。共に座る仲間の発するエナジーが力強く背中を押してくれる。そして何より、スワミジ師にディクシャと共に授けていただいたエナジーは頭から入り、身体の中を暖かく循環し共鳴し、足元から不思議な振動が震えとなって立ち上ってくると、その後の滂沱の涙を禁じえなかった。

自身の瞑想のクオリティは、ともかく、ここに一秒でも長く座っていよう。

この場を少しでも全身に取り込もう。

あっという間の4泊5日であった。

 一つ、実験を試みた。瞑想中、心と呼吸が静かになっている時、心拍数を測ってみるというものだ。通常穏やかに過ごしている時のわたしの心拍数は、85前後である。

瞑想を続ける中で「今だ!」と感じたタイミングで、そっと腕時計を覗くと、「58」という数字が見て取れた。本来瞑想穏中に、こうしたOA機器を用いることは、推奨できることではないので、何度も試してはいないし、計測したのが中国製の安いスマートウォッチではあるが、日常との違いは判別できたと感じた。

 また、今回のリトリートは、初めて夫と前期、後期に分かれての参加であった。事前に心配事もあったが、出来ることは手を打って、結論として、別で良かったと強く感じた。ご夫婦や親子、友人同士で参加を検討されている方々がいらしたら、是非とも別参加をお薦めしたいと思う。自身の内側に真っ直ぐ向き合うために、心細いかもしれないが、親しい間柄の者が居ないほうが、確実に集中できる。

 美しい精神世界の拡がるヒマラヤから、わたしたち衆生を導くために、この穢れに満ちた現実世界にお帰りくださったスワミジ師。

精神誠意の愛と献身で、それをお支えくださるサティヤプレムジ。

素晴らしいリトリート開催のための準備に力を尽くしてくださった方々。

同じ志を持って集い、瞑想を通して尊い魂の絆を感じさせてくれた仲間の方々。

皆様に心より御礼申し上げる。


 

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