アシュラムセヴァ体験談 No.10

アシュラム(僧院)でのセヴァ(ボランティア)体験談をご紹介します。
No.10 ゆかり様
 初めての木こりセヴァは、新鮮な驚きと安らぎに満ちた日々でした。
参加を決意するまでの、膨大な葛藤と逡巡は、一体何だったのだろうと、我ながら笑ってしまいますが、それも必要なプロセスだったのでしょう。

行きたいです!と声を上げた瞬間から、大きな障壁に思えた沢山のことが、次々と不思議と解決していきました。驚いたことに、屈むこともできない程の腰痛までも、治まってしまったのです。連日の雨予報に準備した雨具を全く使うこともなく、気持ちよい晴天が続きました。
何もかも、大きな力に守られていることを実感せずにはいられませんでした。

雑草を一つ一つ抜き、竹を一本一本切り、石を一つ一つ取り除いていく。小さな作業の積み重ねが、やがてはアシュラムの整備に繋がっていくと思うと、胸の内に明るい思いが満ち溢れます。滴る汗が、掘り返された黒い土に滲み、山から吹き渡る涼やかな風が、額に心地よく、守られ、労われているようでした。

見上げるだけで、くらくらするような大木が切り倒される様は、正に圧巻でした。遥かに高い樹上で、風さんは無駄の無い熟練の所作でチェーンソーを操り、幹に切り目を刻んでいきます。固唾を飲んで見守る地上の私たちは、幹に巻かれた長いロープの先を握りしめ、合図と共に渾身の力で引っ張ります。長い年月、屋敷を守ってきた大木の誇り高い命と対峙する時、武者震いするような感覚がするのでした。やがて、大木の先端がゆらりと揺れると、ガリバーに縄を掛けた小人国の民のように、私たちは、大慌てで安全な方向へと逃げ出します。どーん!と凄まじい地響きを立てて倒れた木の周りを盛大な土煙が包み、沢山の葉っぱが胡蝶の群れのようにちらちらと舞うように落ちてきます。あたり一面、樹と梢と葉の、むせかえるような芳香が漂います。倒れて尚、爪痕を残さんとする大木に深い敬意を感じました。

2日目の夜に行われた、スワミジ師のサニヤスバースデーのセレモニーは、厳かな中にも心暖まる至福のひとときでした。小坂さんの奏でるディジュリドゥの音色を聞きながらのプラナームは、今この時が、時代を超えて永遠に続く世界に繋がっていると思われ、格別の有難さでした。スワミジ師を囲んで、心のこもった素晴らしいお食事をし、和やかな歓談続く、この幸せな夜のことを、私はずっと胸に刻んでおこうと思います。

東京に帰って、雑多な日常の中で様々な出来事に遭っても、スワミジ師の灯してくださった光があれば、きっと乗り越えていけると強く思えるのでした。迷いの多い私に未知なる事柄へのチャレンジの大切さをお示し下さり、ひとたび決意するや、強力に後押しもしてくださったスワミジ師、ババジ猊下、そしてアヴァター様。
誠にもって実り多い初めての木こりセヴァでした。
敬愛するスワミジ師と ご一緒して色々教えてくださった皆様、多岐に渡り事細かにご配慮いただいたサリーさんに衷心より感謝申し上げます。

ゆかり

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